小学校6年生の息子が学校の視力検査で視力がパスしませんでした。検査により少しの近視があるのでメガネをかける他にオルソケラトロジーというコンタクトレンズを勧められました。「つけて眠るだけで朝起きたときに視力が回復する」との事ですが、実際はどうなのでしょうか?

オルソケラトロジー(オルソK)とは20年ぐらい前に人気があった、メガネをはめなくても視力が回復するという特別なコンタクトレンズで角膜の形を変えるというものです。当時成功率は50%ぐらいでした。レンズをはめて寝ればよいということでしたが、今ではネガティブな結果が多かったため下火になっています。どのようなマイナス面があるのでしょうか?以下のような点があげられます。

  1. 高額で時間がかかるわりには結果がよくない。
    検査と治療費は両目で$5000ほどですが場所にもよります。レンズをどんどん変えていきますので1か月から3か月ごとにコンタクトレンズを購入する必要があります。最終的にレンズが決まってもレンズの耐久年数は、2年ほどでしかも汚れますので一年に一度は新しいレンズに取り換えることになります。高額なわりにはレンズを外しても一日中きれいに見えるとは限りません。
  2. 視力が変わるので裸眼で生活できるとは限らない。
    上記にもあるように、視力によってはレンズを外してもはっきりきれいに見えるとは限りません。理由としては、寝る時間が少なければ装用時間も少なく、十分に角膜の形が変わらないからです。それも近視の度数が大きくなれば装用する時間も長くなります。
  3. 安全性の疑問
    寝ている間にレンズが割れたり、目の中でどこかに行ってしまうことも考えられます。また角膜の形をわざと歪めるわけですので、角膜に損傷が起こる可能性もあります。酸素不足やドライアイも考えられます。小学生の子供さんには安全性が問題視されます。

オルソKレンズをやめれば角膜は元の形に戻りますので、元の視力に戻ります。最終的にはメガネかコンタクトレンズになります。現在では子供用の安全なコンタクトレンズ、紫外線やブルーライトブロックの使い捨てのコンタクトレンズなどが出ていますので長い目でみたらその方が簡単で安全と言えるかもしれません。

オルソKはあくまでもショートタームのものです。21歳になればレーザー視力矯正もできます。ポジティブな面としては、レンズを付けて寝れば、次の日は裸眼である程度きれいに視力がでます。日本でパイロットや警察官など裸眼視力を要求される職業の視力検査のために当クリニックに来られている方にもいらっしゃいます。ポジティブとネガティブの両面を考えて眼科医と相談されることをお勧めします。