緑内障は日本では失明の第1の原因と言われています。ちなみにアメリカでは老人性網膜変異が失明の第1原因になっています。つまり、日本人は人種的に緑内障になりやすいのです。しかも「正常眼圧性緑内障」が多いのです。
もともと緑内障とは眼圧が上がって視神経が圧迫されてダメージを受けるという病気ですが、眼圧が正常であるために発見が遅れます。人間ドッグなどで眼圧を計っても眼圧が正常であるため、異常とはみなされず、自覚症状がないため自分でも気がつかない。「何か変」と思って自覚症状が出た頃にはかなり進行しているのです。日本では緑内障と診断されて治療している人は20%と言われています。つまりあとの80%の人は緑内障だと気がつかずに生活しているということです。
ひと昔前までは視神経を3Dで見ることのできるOCTというコンピューターのスキャンがなかったので、緑内障は「年を取ってから出る目の病気」と思われていましたが、過去10数年でこのスキャンができるようになってから視神経がダメージしているかどうかが詳しくわかるようになりました。その結果、進行が始まるのには個人差があって早い人は20代の後半から始まっているということが分かってきました。
緑内障は、(1)年齢が高くなればなるほど、(2)近視が強くなればなるほどよりリスクが高い。そして(3)血族の人に緑内障の人がいれば自分がなる割合は4倍、ということが分かっています。
日本人の緑内障は視野検査とOCTでの検査で最も重要になってきます。当クリニックでは日本人は50%の人が視神経が「緑内障っぽく」、そのうちの15%%から2%%の人が緑内障と診断されています。強度近視の方や、LASIK(レーシック)で視力矯正された方で擬陽性ですぐには診断できにくい方もいらっしゃいます。そのため、フォローアップが必要な人が多くいらっしゃるということです。
緑内障は少しづつ視神経がダメージしていくため経過をみて診断します。緑内障ではないけれどもボーダーラインの方はすぐには治療せずに様子を見ていきます。OCTのおかげで視野欠損、視神経のダメージが始まる前に緑内障の早期発見、早期治療ができるようになりました。逆に言えば、眼の定期検診が失明を防ぐために一番大事ということです。
視力が悪くなくても一年に一度は眼の定期検診をされることをお勧めします。